第4回十字軍11-ビザンチンの逆襲奪回

適当につくられた「ラテン帝国」は、さらにビザンチン全体を支配しようとした。ところが地方貴族の抵抗にあった。ここからは陸戦、攻城戦だがヴェネツィアは不得意。内部でも、洗練されていた正教文化と宗教を変える抵抗は相当強かった。それよりも、この黄金都市の略奪のほうがたやすかった。

首都を奪われたビザンチン側は、この事態を聖書に記された「バビロン捕囚」、つまりエルサレムを追放されたユダヤ人になぞらえた。彼らにとって聖都とはエルサレムではなかった。繁栄を続けていた黄金都市コンスタンティノープルこそ聖都だった。

実はビザンティンにもエルサレム奪回のチャンスはあったのだが、直前で止めてしまった。エルサレムよりもはるかにコンスタンティノープルのほうが聖都らしかったからである。ということで、脱出した皇帝がつくった「ニカイア帝国」に正教総主教をおき、権威を維持した。

チャンスはあっけなくやってきた。1261年7月、ニカイア帝国の将軍がたまたまコンスタンティノープルの傍を通りかかれば、何と守備隊は全員ヴェネツィア遠征に行って空だったのだ。それほど彼らは統治に関心がなかった。戦闘もなかったこの奪回を「ローマ帝国」はモーゼの「出エジプト」になぞらえ。その後200年もまだ生き残る。

下はラテン帝国がニカイア帝国に敗れたペラゴニアの戦い

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。