第4回十字軍10-ラテン帝国?の誕生

城門が開き、十字軍が入城すると、この皇帝もあっさり逃亡した。そしてニカイアでニカイア帝国をつくる。残された者たちはさすがに十字軍にお願いするしかなく、慈悲を乞うた。都に入って来た諸侯達は、見たこともないお宝に目がくらんでいた。勝手な略奪はならぬといいながら次の日から我も我もと動き出した。

諸侯たちが、最高級品を物色していると、下級兵士たちが勝手に動きだした。命令は全く通っていなかった。総司令官のボニファティオはアヤソフィアなどの最高級品をゲット。略奪品は、修道院に集めるべしと命令が出て集められたが、今度はその警備兵がそれを頂戴した、何しろ「この世の宝の3分の2がある」と豪語していた街なのだ。

現在の教会や寺院はすべて金で飾られていたが、まあ見るも無残な状態となった。再度、再々度、命令が出され、違反者は縛り首にされたが、それでも全部集めることはできなかった。そして集まったお宝の半分は、契約通りヴェネツィアが頂いた。

皆が略奪し終わって金持ちになると、今後の話し合いが行われボニファティオを警戒した諸侯は、フランドル伯ボードワン9世が選ばれ、ここにラテン帝国ができた。教皇はといえば、何はともあれビザンティンがカトリックになったことに満足した。そして聖地攻撃を催促したが、諸侯は新領土で満足しちゃうわ、そのうち反乱が勃発するわで、結局脱線が元に戻ることはなかったのである。

下はドラクロワ作「十字軍のコンスタンティノープル入城」完成作

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。