第4回十字軍9-決裂、再戦、再奪取

即位したアレクシオス4世は一応約束を実行しようとはしたらしい。しかし何ぶん個人的約束で、国民は一切知らない。金を出そうにも、もはや国庫にそれだけの金は残っていなかった。ましてやカトリックに改宗などできるわけもない、だいたいわかっていたはずじゃん。となれば、彼は十字軍を裏切ることにした。

11月14日、皇帝とヴェネツィア元首との会談が行われたが、皇帝はあっさり「これ以上約束を果たすことはできないからでてってくれ」と言ったので、会談は決裂し、また十字軍は攻撃準備に移った。しかし十字軍も裏切ったら何の後ろ盾もない。翌1204年2月、追放された皇帝の義理の息子「げじげじ眉」のムルツフロスがクーデターで新皇帝を殺害した。

ムルツフロスはアレクシオス5世として戴冠し、前皇帝の約束を完全に反故にしてしまった。十字軍側は、5世を皇帝簒奪者として、同行していた3人の司教が「聖戦」を宣言し、第2次包囲戦が始まった。

ビザンチンもこの間防衛力を高め、低い城壁の上に、木の塔をつくって強化をしていた。これに対して十字軍は、帆柱の上に横木を渡して、これで塔にとりつこうとした。大波が来たとき、それは塔にまで届き、兵士が侵入。激戦の上で塔を占拠して、次々に塔が十字軍の手におちていった。

下は横木をつたって侵入する十字軍

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。