第4回十字軍8-コンスタンチノープル入城

古今東西、開戦理由なんざ手前勝手なこじつけでなかった試しはない。ということで、十字軍は陸から、ヴェネツィアは海からコンスタンチノープルの攻略を開始した。都の金角湾は、非常時は太い鎖で封鎖される。この鎖は対岸のガラータの塔に結びつけられているので、まずこの塔を占領して鎖を切断した。

この都市が難攻不落だったのは、陸側に堅固なテオドシウスの三重城壁をめぐらせ、海からは海軍があった。しかしその海軍力は遠い昔の話、今は最新鋭のヴェネツィア艦に目を丸くしていた。ヴェネツィアの輸送船は乗馬したまま乗れて、岸に着くとハシゴが降りてそのまま降りれた。上陸用舟艇だねえ。十字軍をパレスチナに運ぶ輸送力がこんなところで役立つなんて皮肉なもんだ。

海岸線の城壁は陸側よりも高くない。ヴェネツィアは、船に加工した木材を乗せていて、現地で簡単に攻城梯子や移動櫓を組み立てたらしい。これも十字軍で培った技術進歩。平和むさぼってた東ローマなんかわけもない。攻撃の途中で、ビビった皇帝アレクシオス3世はたまらず逃亡。

そこで盲目にされていた前皇帝イサキオス2世を獄舎から解放して、開城して十字軍を受け入れた。十字軍は入城し、その計画通り、皇子アレクスオス4世が即位した。これにて一件落着と思えば、これはさらなる迷走の序曲にしかすぎなかった。

有名なドラクロワの「十字軍のコンスタンチノープル入城」これは習作

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。