1975年、ドイツの古代の英雄「ヘルマン像」が建立された。ヘルマン(アルミニウス)は、タキトゥスによる「ゲルマニア」に記されたローマ軍を撃退した英雄とされる。この記念像の発案は、1838年に期成会が創られている。この時期にはベートーヴェン記念像建設も発案されている。
さらに1868年には観光写真には必須のルター記念碑が建立された。プロイセンは、ドイツ統一の精神的原理としてプロテスタント精神をPRし、ルターの神格化が図られた。ヘルマンにしろルターにしろ、ローマ軍やローマ教皇を象徴するものはフランスだった。
設立されたドイツ帝国は、領邦の主権が残り、カトリックのバイエルンが入った実に寄木細工だった。ヘルマン像も1868年からプロイセン宮廷の援助が入って建築が軌道に乗り、除幕式にはドイツ皇帝や各諸侯を始め、2万人もの市民が集い、ミニチュアの販売店まで出たという。
さらに71年には国家主導で「ニーダーヴァルト記念碑」が計画される。これはもう普仏戦争勝利記念碑だった。その中心像は女神ゲルマニアであり、甲冑を着て剣を持ち、帝冠を掲げている。ゲルマニアはドイツ軍の守護神となり、100マルク紙幣にもなり、ヒトラーは首都ゲルマニアを建設しようとした。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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