1874年、大不況を受けて与党自由党が選挙で敗北して、グラッドストンから保守党のディーズレリに首相が変わる。彼は大不況の社会不安を受け、社会施策を行い、労働者の革命化を食い止め、同時に都市改造を行って需要を創出して、景気や雇用を改善させようとした。
当時、産業革命によって人口が都市へ集中し、都市は貧民であふれ、公衆衛生の悪化から疫病がすぐまん延することとなった。リバプールやマンチェスターの平均寿命はなんと20代だという。これでは生きる意味を見出すことができず、過激化にはしるのも道理である。
1875年公衆衛生法が改定される。それまで各都市にまかせられていた公衆衛生を、国が命令できるようにした。自由主義のイギリスが社会主義を導入することで、下水道が延長された。そして75年の職工住宅改良法によって、自治体が地区まるごと住宅を建て替えできるようになった。その代替居住も労働者に保証するという条件付きである。
ディーズレリは、イギリス社会の分断を強く意識し、イギリスを「一つの国民にする」という信念のもとに従来の自由主義を改めて社会施策をすすめた。社会主義を一部取り入れることによってマルクスの言う「革命の必然性」を防止したのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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