1874年スメタナの有名な「モルダウ」が作曲された。この曲は6つの交響詩からなる「わが祖国」の中の1曲である。普墺戦争敗北後、墺帝国がオーストリア・ハンガリー(二重)帝国に変わると、帝国内のスラブ人も独立を欲するのは当然のなりゆきだった。が、今度はハンガリー人がスラブ人を抑圧する。
チェコは文化国であり、オペラ改革者のグルックも、練習曲で有名なバートーヴェンの弟子ツェルニーも実はチェコ人である。ところが優秀な人間は、故郷を離れてまずウィーンに出て身を立てたのだ。しかしプラハでボヘミア楽派が生まれ、63年に芸術家協会が生まれ、スメタナはその音楽部長となる。
スメタナは、交響詩という手法を使って、チェコの情景を国際的に伝えようとした。モルダウでは農民の結婚式を描く音楽で、チェコの伝統のポルカが使われる。第5曲ターボルでは、何とフス派の讃美歌「汝ら神の戦士よ」が使われる。第6曲では「最後には彼とお前が常に勝利と共にある」という音楽が高らかに流れ、チェコの独立を暗示する。
これに続いて、チェコの伝統音楽を積極的に近代音楽にしたのがドヴォルザークである。哀愁を帯びたチェコ音楽はロマン派の音楽に独特の色どりを添えて、ドヴォルザークと共にチェコ音楽は国際的評価を受けることになるのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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