第4回十字軍1-サラディン弟の平和路線

サラディンの死後、領土は息子たちで6つに分割された。結局イスラム統一はサラディンの時代だけだった。長子アフダルがダマスカスを譲られスルタンの位をバグダードに要請したが、何の回答もなく、各地が独立することになった。

欧州側は懲りずにまた十字軍を提唱した。1195年、父の無念を晴らそうと息子皇帝ハインリヒ6世が起った。ドイツ軍は、1197年9月にアッコに上陸し、いきなりシドンとベイルートを占拠した。しかし皇帝は、リチャードの身代金で、シチリア攻略をやっていたのだが、9月28日病気で崩御してしまい、ドイツ十字軍はまたしても目標を達成できずに引き返すこととなった。

イスラムのほうでは、1196年、サラディンの弟のアル・アーディルが、息子アル・アフダルのダマスカスを攻めて奪いスルタンとなった。アフダルは父と違い全くダメ息子だったらしい。そして新スルタンは十字軍と5年の平和協定を結んだ。

アル・アーディルは実利主義者であり、もはや聖戦の時代ではない、と考え、キリスト教国とも貿易を通じて平和を達成しようとした。イタリアの都市に十字軍を運ばないようにしよう。その相手としてヴェネツィアを選んだ。

下はアイユーブ朝の領土

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。