第3回十字軍8-皇帝バルバロッサ不慮死

苦戦中のサラディンにいよいよフリードリヒ1世からの宣戦布告が届いた。皇帝は形式通り「エルサレムから撤退せよさもなくば我が軍による神の怒りが下ろうぞ」対するサラディンは「エルサレムはアッラーから下されたもの、そちらこそ恐れよ」と返事を書いた。

しかし陣中は戦々恐々だった。赤髭帝のイタリア征服での強さは、イスラムまで知れていたのだ。十字軍残党にも苦戦しているのに果たして受けられるか?果たして1189年、皇帝バルバロッサは8万から10万人の軍勢で動き出した。

この軍は大軍すぎて陸路を使わざるを得なかった。セルジュクは金をくれれば通すと言ったのだが、赤髭は「金の力ではなく鉄の力で通る」と蹴散らしてすすんだ。1190年ついにイコニウムで、アイユーブとセルジュク連合軍に遭遇、イスラムは都市を攻撃する背後を衝いたが、赤髭は「キリストが治め、キリストが命じ、キリストが征するのだ」と士気を鼓舞し、大勝利を得た。

しかしである。もはや風前の灯と思われたサラディンだが、フリードリヒはトルコ南部のキリキアで渡河途中で、何と川に落ちて落命!急流だったが浅瀬であり、ドイツ人はとても信じられず、実は生きていてドイツの危機には救いにやってくる、という伝説が生まれた。そして聖ヒルデガルドの予言もまた有名となったのである。


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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。