プロイセンを支持したクセに、バイエルン王ルートヴィヒ2世はその勝利に沈鬱だった。なんと「かわいそうなフランス」と言ったらしい、まさかあんなにフランス軍がもろく敗れるとは思ってもいなかったろう。そしてまさかのドイツ皇帝推戴親書をプロイセンから要求されるとは!
バイエルンは、ドイツ皇帝を認めるかわりにバイエルン国王の称号は残され、独自の統治体制を持つことを認められた。王弟オットーは、ヴェルサイユのドイツ皇帝戴冠式に列席させられ、そのあと精神が不安定になっていった。兄弟ともに繊細な気質だったのだろう。
バイエルンは、皇帝を推戴した見返りとして年間30万マルクの王室費をプロイセンから得た。その金をつぎこんだのが、シンデレラ城として知られる有名な「ノイシュヴァンシュタイン城」である。彼の空想へののめりこみはもはや止められぬものになってしまう。
さらにまたもや熱をあげたのがワーグナーである。ワーグナーはバイエルンを追い出されて、プロイセンのバイロイトに自分の理想の劇場を計画する。これに王は援助することになるのだが、その金100万マルク。どんどん費用は膨らんでゆき、果てには王室公債を出すことになり、もはや政府も放置できなくなる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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