ジブリの映画「紅の豚」で加藤登紀子が歌った「さくらんぼの実る頃」は実はパリ・コミューンに関係している。この歌はコミューンの一員だったジャン=バティスト・クレマンが1866年に作詞した儚い恋の夢と失恋の歌である。その2年後にアントワーヌ・ルナールが曲を付けた。
しかしコミューン崩壊の後、その追討の意味を込めてパリの庶民に流行する。そして1885年クレマンが新たな詩をつけて「若いルイーズ」に捧げたことで、コミューン追討の意味が深くなった。彼女は、バリケードでさくらんぼの籠を抱えて負傷者の看護をして亡くなったということだ。
そしてルイーズは、有名な女性闘士ルイーズ・ミシェルの追憶とも結びついた。彼女はユゴーも評価する詩人で、小学校の教師だったが、コミューンに檄文を寄せ演説し、「赤い聖母」「自由のアマゾネス」と称された。自らティエールの暗殺を志願したこともある。
コミューン崩壊の後、彼女はパリに放火した「火つけ女」の汚名を着せられ逮捕された。彼女は死刑を望んだが、放火の証拠は全く見つからず、結局追放刑に処せられた。1873年彼女がニューカレドニアに送られたときには、見送りの者は「さくらんぼの実る頃」を歌って送ったとのことだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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