ロマン派の時代51-美しき青きドナウ

普墺戦争の敗北は、オーストリアに大ショックをもたらした。ハプスブルク家のことは昔としても、1815年のウィーン会議以降オーストリア帝国はドイツ連邦の盟主であり、欧州パワーの一つの中心だった。それがいきなり、ドイツとイタリアを失い、欧州の片隅に追いやられたのだ。

その暗鬱たるウィーンで生まれたのが名曲「美しき青きドナウ」なのである。実はこの曲は1865年にウィーン男声合唱協会からヨハン・シュトラウス2世に依頼があった合唱曲である。そしてこの曲に最初に歌詞をつけたのは、協会関係者でアマチュア詩人のヨーゼフ・ヴァイルである。

「ウィーン子よ陽気にやろうぜ。謝肉祭があるさ、ご時世なんぞ気にするな、陽気にやろう」そんな歌詞である。そして初演は67年2月15日、ウケはぱっとしなかったようで、作曲者自身「合唱のことを考えるとワルツは迫力不足だったかもしれない」と述懐している。

しかしその年に行われた第二回パリ万博で演奏すると大きな評価を受け、ロンドンでも絶賛され、ウィーンでも人気を博し、アメリカでも演奏された。オーストリアは戦争に敗れたがこの曲は世界を征服したのである。この曲は第二の国歌といわれるようになり、1890年にそれらしい現在の歌詞に書き換えられた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。