南北戦争9-奴隷解放宣言

1863年1月1日、ついに大統領リンカーンは「奴隷解放宣言」を出した。リンカーンを支持する共和党からは、リンカーンの優柔不断な態度への不満が激しくなった。そこで北軍がアンティータムの戦いに勝ったことを契機として宣言を出すことになったが、注意深く62年9月に予備布告を行って慣らしていた。

しかしこの宣言は、政府に反逆している南部連合諸州での解放であって、即実際の効果はなかった。北部に属しているケンタッキー、テネシーなどはまだ奴隷制農園があった。まさにこれは啓蒙主義的北部得意のアドバルーンだったが、それでもこの戦争の大義を明らかにした点は大きいのだ。

この宣言で、国外では欧州列強が南部連合を支持する可能性はゼロとなり、政治的な敗北となった。しかし北部民主党は、北部を分裂させるものだと批判した。北部の白人も、南部の奴隷などひとごとで、この宣言になじまず、かえって軍隊志願者が減ったようだ。

しかし黒人の反応は違った。南部軍に連れられてきて捕虜になった黒人奴隷は、解放奴隷として北軍に所属することができた。また北部中でも奴隷農民はこれを機に、解放奴隷として北軍に入隊し、北軍は新たに20万人の兵士を得ることになった。しかし黒人は白人と別部隊となって戦った。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。