帝国の時代20-百貨店誕生

1860年1月23日、突如皇帝ナポレオン3世の勅令によって英仏通商条約が締結された。フランスはルイ14世のコルベール以来の重商主義があり、外国製品に高関税をかけていた。議会にかければ議員達に反対されるに決まっている。そこで皇帝勅令として一気に関税引き下げを実施した。

この通商条約によって石炭、羊毛、綿花など原材料の関税は30%に引き下げられた。驚いた産業資本家に対して皇帝は、設備投資をする会社には、大規模な金融支援をすると約束して反対を抑えた。これによって関税と安い人件費にアグラをかいていた資本家は、こぞって近代化を行う。

設備投資と原材料安で、フランスは空前の好景気に沸きたち、イタリア戦争の重苦しいムードを一気にふりきり、皇帝万歳になり「帝国は平和である」というナポレオン3世のテーゼが再び確認された。世界の商品がパリに集まるその時代を象徴するのが百貨店である。

世界最古の本格的百貨店といわれるボン・マルシェは1853年に開店した。ネーミングは「安売り」であり高級とはほど遠い。しかしパリ万博をヒントに、ハデなショーウィンドウと安売りバーゲンで客寄せをして、百貨店のモデルとなった。エミール・ゾラは「消費信者のための消費のカテドラル」と呼んだ。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。