帝国の時代16-ソルフェリーノの戦い

フランス軍とて作戦があったわけではない、何よりもナポレオン3世は1世のような軍事的才能がない。その結果1859年6月4日マジェンタの戦いで、仏墺両軍はばったり遭遇してたちまち白兵戦になり、多くの犠牲の後かろうじて勝利した。この勝利を記念して今もプリンタインクに使われる色がマジェンタになる。

6月24日のソルフェリーノの戦いは、2帝1王が陣頭指揮を取り、国家元首が会戦する最後の戦いになったが、やはりドタバタの白兵戦になり、両軍20万人の混戦は、仏伊軍17千人、墺軍22千人の犠牲を出した。3世は世論の批判や、プロイセンが介入してくることを恐れ、7月11日あっさり現状維持で講和した。

しかしトスカーナなどイタリア中部では、市民反乱が止まらず、領主権力が打倒されて共和国臨時政府ができた。これらの都市では、サルディーニャ王国への合併の住民投票が行われ、合併が勝利した。一時は首相を辞任していたカブールは再復帰して、この交渉にあたり、イギリスの支持とフランスがサヴォイとニース割譲を条件に承認した。

サルディーニャ国王ヴィットリオ・エマニュエーレ2世は、市民の意思を尊重するという形でこれを受け入れ、サルディーニャ王国は、北部中部イタリアに覇権を得た。南イタリアとローマ付近は残ったが、イタリア統一の動きはもはや止められるものではなかった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。