近代と信仰10-「私は無原罪のお宿り」

ルルドは何ぶん小さな村である。ベルナデッタが洞窟に通うのはすぐ噂になり、見物客が出て、それが噂を広める。彼女は警察に出頭させられ、自分の見た夢だと説得した。しかしベルナデッタは言う「署長さん、私も最初はそう思ったけど、何度も続けて同じ人の夢を見るって変じゃありませんか?」

1758年2月25日にはもう350人の見物客が居た。その目の前で、彼女は土を掘りだして泥まみれになった。皆笑ったが、彼女の去った後、そこへ棒を突っ込んで掘ると、そこから清水が湧き出した。3月1日からその泉で手や目が治り、動けない赤児が動き、続々と奇跡的治癒が起こる。

この奇跡は、アカデミー会員の町医者ドズー医師が診断して医学的記録がなされた、医学で検証された初めての奇跡である。そして1902年には、後にノーベル賞を受賞するアレクシス・カレルの目の前で、奇跡的治癒が起こったことを死後出版して、ルルドは大きな信ぴょう性を得た。

3月25日受胎告知の祝日、何回聞いても名を言わない女性は遂に、ベルナデッタに「私は無原罪のお宿りです」とそこの方言で告げた。その言葉の意味は司祭だけが知っていて、教会学校にも行けなかった貧しい彼女が知るはずがない、彼女は帰り道必死に難しい言葉を繰り返して司祭に伝えただけだった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。