1857年インドでイギリスに対する「セポイの反乱」が起きた。イギリスは原産国のインドまで綿製品を売りつけ、イギリスの家内工業的な綿工業を崩壊させた。手工業は農家の副業だったので、農村も疲弊し、英インド総督は「木綿織布工の骨はインドの平原を白くしている」と述べるまでの有様だった。
セポイとはイギリスに雇われたインド人傭兵で、上流ヒンドゥーとムスリムから成っていた。イギリス本国ではより性能の高いエンフィールド銃に変わったが、この薬包には牛の油と豚の油が使われていた。この銃がセポイにも使われるという噂が立ち、ヒンドゥーもムスリムも宗教的禁忌のために団結した。
ムガール皇帝バハドゥール・シャー2世は、イギリスに宣戦布告し、反乱はインドの3分の2に広がった。皇帝はデリーに入ったが、皇帝自身はあまりやる気がなく乗っただけだった。そしてやはり急ごしらえの統一軍は、宗教的民族的対立によってうまくいかず、イギリス軍の兵器に敗れてしまう。
イギリスは、インドの小藩主国を味方につけ、ネパール兵を動員して、同年9月にデリーを奪還、皇帝はあっさりイギリス軍に投降した。地方の反乱は翌年まで長引くが、イギリスは何とか鎮圧し、皇帝を退位させ、ここにムガール帝国は消滅、58年インド統治法によってイギリスが直接統治することになった。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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