1844年史上初の写真集「自然の鉛筆」が、イギリスのウィリアム・タルボットによって出版された。この本は、写真というものを初めて大衆の目の前に登場させたのだが、白黒写真で24枚しかないので残念ながら売れ行きは悪かった。しかしこの時期は写真技術の黎明期である。
1839年、フランスのタゲールが、いわゆる「銀板写真」の技術を発明、この技術は一世を風靡し、ヨーロッパで肖像写真ブームが起きる。日本でも来航したペリーの黒船が、銀板写真で幕末の人物や風景を撮影した。しかし「銀幕写真」は一枚しか写真として残らない。
タルボットの発明したカロタイプは、ネガポジ方式で複製が効いた。従来の「複製」というのは、手間がかかり、複製はあくまでニセ物である。ところがこの技術は、すべて同じ物であり、複製の概念を変えた。そして現代に至っては、コピーから別のものが生まれ、何が本物なのかわからない時代となるわけだ。
1851年になると、安価な湿式コロジオン法が生まれ、この写真はクリミア戦争での報道写真ともなった。また西洋が進出した東洋の写真ともなって流行した。日本では62年に長崎で上田彦馬が上田撮影局を開き、有名な坂本龍馬の写真はここで撮られたものである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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