ロマン派の時代33-ヴェルディと革命

革命が起こったときヴェルディはパリに居て、「志願兵になりたかった」と呟いたが、慌ただしくパリに戻った後革命は敗北した。ヴェルディは「哀れな祖国」を嘆いた。しかし南ではまだ革命の炎は燃え尽きていない。ローマでは教皇国家首相が殺害され、教皇ピウス9世はローマを脱出した。

代わって1849年2月9日にできたのがローマ共和国である。1月27日ヴェルディの愛国オペラ「レニャーノの戦い」がローマで初演され、観客は「イタリア万歳」と叫んだ。このオペラは、12世紀赤ひげ皇帝フリードリヒ1世がイタリア征服で侵攻したとき、イタリア諸邦が団結して戦ったのを描いた作品である。

しかし新たに仏大統領となったルイ・ナポレオンは、カトリック票目当てにローマに進軍する。このとき対峙したのが、後のイタリアの英雄ガリヴァルディで、ローマ大学の戦いに勝利、しかし結局敗北して、ローマ共和国は崩壊し、ガリヴァルディらは各地でゲリラ戦を続けることになる。

ヴェルディは田舎に退いたが、最初の妻が亡くなってソプラノ歌手ジュゼッピーナと同棲していたので白い目で見られるようになった。ヴェルディの見た人間の裏と表は、その後の作品に反映され、シェークスピアを研究して、オペラにしようと思うようになった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。