1848年2月、革命のさなかに有名なマルクスの「共産党宣言」が発表された。「ヨーロッパに幽霊が徘徊しているー共産主義という幽霊が」という有名な冒頭は、共産主義はユートピアで、まだ実体がなかったことを表している。この宣言はドイツ亡命者の正義者同盟の依頼だった。
そして「すべての歴史は階級闘争の歴史である」と言い切る。この頃、マルクスは歴史発展の原動力を、生産力と生産関係の矛盾という思想に到達していた。その矛盾が階級闘争となって現れる。歴史を思想ではなく客観的物質生産に置いたのは、思想の大転換だった。
マルクスは、ユートピア的な共産主義ではなく、現実的に生産手段の社会化、国有化によって共産主義を達成するプロセスを示す。またユートピア的に資本家によびかけるのは無理で、戦うことを提案するのである。ドイツはブルジョア革命の前夜で、まずそれをしなければならないと現実的である。
この宣言は「万国の労働者よ団結せよ」という有名な言葉で終わる。マルクスは、ナショナリズムの時代に、早くも国際主義を唱えた。これはその後インターナショナルとして実現するが、各国の文化的歴史は複雑で、マルクスの考えるような資本主義による平準化は単純すぎで、歴史はもっと複雑である。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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