ウィーン体制34-ジャガイモ飢饉勃発

1845年、アイルランドからジャガイモの疫病が蔓延した。アイルランドはイギリスに支配され、アイルランド人の土地は14%に減っていた。しかも彼らは小作人であり、自分の畑の3分の2にはイギリス人のための小麦を植え、残りにジャガイモを植えてそれを食べていた。

このためジャガイモは「貧者のパン」と呼ばれたが、このおかげでアイルランド人口は増加した。ところがジャガイモが繁殖力の強い種類に限ったため、それを枯らす菌があっという間に広がったのである。驚くことに、彼らの畑の小麦は無事だったが、それを食べることはできなかった。

本国イギリスといえば、なんとイギリス本国の物価を気にしてまるで放置した。アイルランドは150万人の餓死、病死者を出し、そして100万人がアメリカ移民となる。彼らはカトリックであり、アメリカ東部にカトリック文化が生まれ、その後何と4人のアイルランド系大領領を出すことになる。

しかし貧者のパンは大陸ヨーロッパでも同じことで、ジャガイモ飢饉の影響は、北部を中心に広がり、貧者の食料価格が高騰した。産業革命の進行で増加した貧者の命綱が奪われ、社会が騒乱の時代となり、決定的な1848年の革命に向かって動き出してゆくのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。