「もしこの日にお前も平和の道をわきまえていたなら!」(ルカによる福音書)今も争いが絶えないエルサレム。そもそもここはユダヤの聖地ではなかった。神の地との言い伝えを利用してダビデが宗教都市を建設し、ソロモンが神殿を建てて十戒を納めた「契約の箱」を安置した。
この「契約の箱」はBC586年のバビロン捕囚による神殿破壊で行方不明になったが、存在するというミステリーは尽きない。60年後にユダヤ人が帰還し、神殿が再建されたが、イエスキリスト出現以後AD70年の「ユダヤ戦争」で崩壊し、皇帝ユリアヌスが再建しようとしたが失敗して今に至っている。
この神殿崩壊は、キリスト教がユダヤ教と別れる決定機になり、聖書のイエスの嘆きもその予言と解釈される。キリスト教では、イエス受難の地として聖地であり、326年、聖太后ヘレナが聖墳墓教会を建てた。
イスラムは、メッカ制定までムハンマドはエルサレムに祈っていた。またここから昇天して天国に行ってアッラーと対面したとされる。エルサレムを占領したのは、二代目カリフのウマルだが、聖墳墓教会には入らず、「もしそんなことをしたら、今後教会をモスクにする不心得者が出るかもしれない」と言ったという。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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