ウィーン体制26-鉄道が牽引する独産業革命

ドイツの産業革命を主導したのは他国と違って鉄道である。これは鉄道の必要性を説いてまわった経済学者フリードリヒ・リストの功績でもある。彼は反国家扇動罪でメッテルニヒに目をつけられ、アメリカに亡命したが、今度はアメリカ領事の肩書でプロイセンに帰国していた。

1835年12月7日、ニュルンベルクとフュルトのわずか6kmにルートヴィヒ鉄道が開通した。ニュルンベルクは、ドイツの中央に位置し、中世自由都市の頃からドイツの商業の中心地だった。時間はわずか9分だが、たいへんな進歩である。隣町のフュルトもまた経済発展しており、両市間では荷馬車がひっきりなしに往来していたのである。

この鉄道の開始は、ドイツの都市間の鉄道敷設の合図となり、39年には130㎞、42年には930㎞となった。実際、領邦に分かれていたドイツでは、ベートーヴェンやゲーテのような推薦をもらった人でない限り、旅行は難しかった。ドイツ関税同盟が、商業の分断を断ち、鉄道が人々を結びつける。

鉄道は資本投下の道をつくり、各地で鉄道会社ができた。そして次の時代は、鉄鋼業と石炭業の時代となる。天然資源の豊富なドイツは、自国でまかなうことができた。すでに1824年には石炭を利用したコークス製鉄法の工場が建設されている。ドイツは経済成長を開始しつつあった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。