ロマン派の時代5-ロッシーニ仏王に重用

1823年パリを訪問した作曲家ロッシーニは大歓迎を受けた。このときのことを小説家スタンダールは、「ナポレオンは死んだが別の男が現れた」と述べている。そしてパリのイタリア座の音楽監督に就任した。翌年さっそくオペラ「湖の女」を書いて上演。伊仏を往復する日々となる。

ときは、ルイ18世が崩御し、弟がシャルル10世として即位した。王は伝統主義者らしく、戴冠式を王家伝統のランス大聖堂でやりたかったのだ。ルイ18世はいろんな反対でできなかった。その音楽は、王家の音楽監督であったケルビーニが担当し、大規模な荘厳ミサが演奏された。

戴冠式をテーマに、パリ中の劇場がオペラをつくったが、ロッシーニも「ランスへの旅」をつくる。このオペラといえば、フランスの保養地プロンビエールのホテル「黄金の百合」を舞台に、戴冠式を見に来たヨーロッパ各国の来客がくり広げるドタバタコメディである。

これをシャルル10世に献上するや、国王は彼にフランス国王の第一の作曲家との称号を賜り、終身年金の待遇を得た。王からフランス語のオペラを求められると、自分の旧作をフランス語にして上演するという如才のなさを見せた。そして彼はフランスに定住するようになる。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。