合衆国の歩み5-モンロー宣言発表

1823年12月2日第5代アメリカ大統領ジェームズ・モンローが、議会に送った7番目の年次教書で、欧州とアメリカの相互不干渉を発表した。歴史的に有名な「モンロー主義」である。19世紀初め、中南米諸国は、次々に欧州植民地からの独立を勝ち取っていたが、ナポレオン戦争後は再び欧州の手が伸びていた。

中南米の宗主国スペインポルトガルは、力を喪失していたが、これに代わる野望を持っていたのが、スペイン立憲革命を鎮圧したフランスだった。さらにロシアも、シベリア近海を領海宣言して、エスキモーへの英米船舶の来航を禁止して、毛皮などの取引独占を狙っていた。

イギリスのカニング外相は、アメリカに、英米で中南米諸国の独立を承認しようともちかけた。つまりこの市場を英米で独占しようという狙いだった。しかしアメリカには英米戦争をしたばかりで、イギリス嫌いが根強く、共同とはいうものの、力の差でイギリスのいいようにされるという不信感があった。

結局アメリカは、独自でモンロー宣言を発することで、アメリカ大陸の守り手という立場を明らかにした。そして1846年にメキシコと戦争をして領土をテキサスに拡張する。その後モンロー主義は、アメリカ外交の基本となり、工業化をすすめたアメリカは大陸市場を占めることになる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。