1818年のクリスマス、一つの歌が生まれた。クリスマスでは日本でも歌う「きよしこの夜」である。この曲が生まれたのは、オーストリアのオーベンドルフにある聖ニコラウス教会である。その教会のオルガンは、ネズミにかじられたなどの理由で突然鳴らなくなったえらいこっちゃ。
司祭は、急遽親友のオルガン奏者フランツ・グルーバーに、ギターで歌える簡単な曲の作曲を依頼した。カトリックはオルガンができなくなったときのためにギターも習っている。そこでグルーバーは必死に作曲して、クリスマスに間に合わせ、この名曲が生まれたというわけだ。
この曲は、今日では3番までだが、当時は6番まであったそうだ。そこには「主は怒りをお捨てになって、全世界にいたわりを約束された」という歌詞がある。作詞は司祭ヨゼフ・モールだが、ナポレオン戦争が終わった喜びと神への感謝を表現したらしい。本格的な讃美歌である。
そして翌年、カール・マイラッヒャーというオルガン修理人が、この楽譜をもらい、チロル地方で歌われた。1831年のクリスマス、たまたま祭で聞いたアントン・フリーズというドレスデンの楽譜出版社が感動して、チロル民謡として出版して全世界に広がる、何やら不思議は神の摂理を思わなくもない。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
0コメント