ヴァチカンの野望4-モーツァルトの街を創った男

南ドイツにも、アイルランド出身者が来ている。バイエルンの使徒と呼ばれる聖マリヌスとアニアヌスコンビ。聖キリアンと同世代とされている。2人はバイエルン地方を40年間宣教して殉教したとのことだ。

やはりバイエルンの使徒と呼ばれる聖ルペルトは、フランク王家の血筋といわれ、フランク王の要請に従ってバイエルン地方に宣教に行った。彼はバイエルン公爵テオド2世の改宗に成功した。公爵は696年、ジュバブムという岩塩の採れる古い町を寄進、ルペルトは、ここの塩坑を開発し、この街を大いに発展させた。

この街は塩にちなんでザルツ(塩)ブルク(砦)と命名された。モーツァルト生誕の地として有名な町の由来である。ルペルトはこの街の象徴ともいうべきペトロ修道院を建て、798年に大司教区に格上げ、後にドイツの首位司教座都市まで発展することになる。

次の修道院長聖フェリギリウスもアイルランド貴族出身。彼は天文学や幾何学にも造詣が深く、「宇宙誌」などを著した。彼は聖ルペルトに捧げた大聖堂を建て、学問を奨励した。そして中世を通じて学芸都市として北のローマと言われる美しい都市になるのである。

下は聖ルペルトに捧げられたザルツブルク大聖堂

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。