ヴァチカンの野望3-ハリーポッターの魔女は元聖女

ボニファティウスの一族もゲルマンに来ていた。この時代のブリテン島にはアングロサクソン7王国の時代。元はゲルマンなので、言語も同じで来やすかったのだろう。その中で魔女にされちゃった聖女が居る。聖女ヴァルブルガ、イングランドから渡来した聖リチャード3兄弟の末娘である。

長男ヴィリバルトはローマ教皇から宣教許可を受け、アイヒシュテット司教に任じられた。そしてハイデンハイムに大きな修道院を建立し、次男ヴニバルトをその院長にした。そして二代目院長になったのが末娘ヴァルブルガである。彼女にはキリストと同じ癒しの能力があったとのことでたちまち修道院を大きくした。

そして彼女が亡くなると、いつの間にか彼女の柩からタラーリタラーリと油が滴るようになった。それを塗った人は皆病気が快癒した。この油は現在でも流れており、彼女の柩のある修道院で今も売られているのだ。

ところが彼女、実は有名なファウストに出て来る魔女のサヴァト「ワルプルギスの夜」の名前になってしまった。実は彼女の祝日5月1日の前夜に、魔女が集まってサヴァトをするという伝説があり、いつの間にか彼女の名が用いられるようになったらしい。ハリーポッターにも「ヴァルブルガ・ブラック」という魔女の肖像画が登場、涎を垂らし、白目を剥き、黄ばんだ顔の皮膚が引きっついているとのこと、ブラックマジックとホワイトマジック、超常の世界が身近だった中世ならではの出来事である。

下左は聖ヴァルブルガ像。右はヴァルブルガ・ブラック(想像図)なんでこんなことに


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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。