イスラム誕生5-欧州の鉄槌カールマルテル

スペインに攻め込んだイスラムはまさに破竹の勢いで、グアダレーテ河畔の戦いに勝ち、西ゴート王国を滅亡させた。そして716年には大部分がイスラムの支配となり、アル・アンダスというイスラム帝国の属州となった。イスラムはその余勢をかってピレネーを越えようとした。

ピピン2世が逝去したフランク王国では、その庶子カール・マルテルが宮宰としての地位に就いた。マルテルは軍略家で、ネーデルランドやドイツへも遠征を行い、領土を広げていった。そのツールが中世ヨーロッパを彩る「重装騎兵」である。ところが馬と武具を揃えるにはかなり金がかかった。

マルテルは、そこで教会の領地に目をつけた。まあメロヴィング朝の間、教会は開墾に励み、どんどん拡大していたのだ。この教会の領地を土地の少ない領主達に分けあたえた。しかしタダで没収するとあとがうるさい。考え出されたのが、教会に税金を払うこと、中世の教会への10分の1税はこうしてできたのだ。

そして、主君から与えられた領地のお返しとして、一定期間軍務に就くという、封建的主従関係がここからできていったのである。720年になると、イスラム勢は南仏に攻め込み、ボルドーを落とし、さらに北へ攻め入る気配を見せていた。いよいよ決戦が近付く。

下はカールマルテルの肖像。マルテルが鉄槌という意味なので、結構このあだ名で呼ばれる

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。