さてフランク王国では、宮宰カロリング家の権力掌握がすすんでいた。後に列聖されるヨークのウィルフレッドは、ブリテン島で育ったダゴベルト2世を盛りたてるため、西ゴート王国の姫と縁組して王権を強化しようと謀るが、これを好ましく思わぬ宮宰ピピン2世によって679年一家ごと暗殺された。
680年、ピピン2世はフランク王国全土の宮宰となった。ダゴベルト2世の暗殺は宮廷クーデターであったが、王家の血筋を重んじて、メロヴィング朝は存続した。714年ピピン2世が逝去して後、宮宰に就いたのが軍事的才能あふれるカール・マルテルであった。
しかしピレネー山脈の向こうでは異変が起こっていた。西ゴート王国は乱れ、たまりかねた臣民は、なんと現在と反対で、危険を賭してイスラムのアフリカへ渡っていたらしい。やはり大勢途中で溺れ死んだ。ジブラルタル海峡の対岸セウタは、西ゴートの領土であったが、この総督はこの惨状に、イスラムのイベリア進攻を要請した。
711年、ターリックを総司令官とする1万2千人のイスラム軍が、海峡を越えてジブラルタルになだれ込んだ。といってもジブラルタルという地名そのものが「ターリックの山」というアラビア語からきているのである。
下は英領ジブラルタルの5ポンド札になったターリク、歴史は複雑怪奇
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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