苦悩と歓喜12-不滅の恋人への手紙

ゲーテと会っている1812年7月6日、ベートーヴェンはチェコの湯治場テプリッツェで手紙を書く、有名な「不滅の恋人」への手紙である。この手紙は結局発送されずに手元に残って死後発見された。出さなかったラブレターをずっと置いておくのはずっと思っていたからだとしてこれが研究者に絶好のネタを提供した。

ベートーヴェンは一見朴念仁のようだが、恋は結構している。しかし現代でもそうだが、芸術家というのは不安定で、結婚は困難が立ち向かう。彼には難聴という問題もあった。現在有力な説はヨゼフィーネ・ブルンスヴィックとアントニエ・ブレンターノだが、2人とも夫との関係がうまくないが人妻である。

しかしベートーヴェンは結構浮き上がっていたようで、その気分が交響曲第8番に反映しているようである。だがいくら問題があるといってもそう簡単に離婚はできず、ベートーヴェンは、ドン・ジョヴァンニのように女性と遊べる男ではなかった。彼にとって結婚こそ神聖である。

彼は日記に「お前にとっての幸福は、お前自身の芸術の中でしか得られない」と失恋を告白した。そして生活や健康上の問題と共にスランプに陥った。1813年が作品が途絶えてしまい「私は精神錯乱寸前だった」と手紙に書く。そして彼は一人で神との対話をするようになった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。