近代思想4-ヘーゲル弁証法の確立

1811年ヘーゲルは「論理学」第一巻を刊行した。これから第三巻「小論理学」で、ヘーゲルの哲学の方法は確立される、それは一言でいうと「弁証法」である。ヘーゲルの画期的なところは、すべてのものは自分の中に対立物を抱えているとしたことである。それが発展の原動力となる。

例えば人間の生の中には反対の死を抱えている、我々は日々この連続であって、元気になったり不調になったりしている、これを「対立物の統一」という。しかしその行ったり来たりではない、とヘーゲルは言う。それは次の次元にアウフヘーベンされる。生と死の事で言えば、医者に行くことに当たるだろうか?

カントは、悟性で捉えられないことはどちらともいえない「二律背反」に陥ると述べた。しかしヘーゲルは、運動と発展の中で考えると「二律背反」は解消される、と述べる。例えば宇宙は有限か無限かという問いには、現代科学は、有限ではあるがその中で無限性を持っていると解答する。

ヘーゲルの時代は、まさに社会が揺れ動く時代、輝かしいはずの啓蒙が内乱や独裁を生んだ、時代は混乱するばかりである。しかしヘーゲルはポジティブに、行ったり来たりしている時代が、次に新しい時代を生むと考えるのだ。このポジティブさは、ゲーテもベートーヴェンも共有している。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。