背教者ユリアヌス4-神々の運命

360年2月、ユリアヌスは皇帝の推挙を受諾した。しかし戦さを望まない彼は、ペルシャ戦役に出陣中のコンスタンティウスに事情を説明し、東西両帝並立を打診した。しかしコンスタンティウスがきくわきゃない。ペルシャと和睦を計り、翌年ユリアヌスを討伐するために、アンティオキアから帰還の途についた。

ユリアヌスは、その先手を取って、シルミウムに進軍、ドナウ河防衛軍を自分の側につかせようと試みた。ドナウ河防衛軍のほうも、頼りにならない今の皇帝よりも、ガリアでゲルマンを撃退し、優れた統治を行っているユリアヌスを選ぶことに決め、両軍は合体した。

すわ決戦か、と思いきや、コンスタンティウスが病に倒れ、11月3日死去してしまった。内戦を免れたユリアヌスは、12月11日、コンスタンティノープルに入城した。そしてコンスタンティウスの葬儀を行い、皇帝即位を果たした。皇帝即位後コンスタンティウスは遺言として後継者にユリアヌスを選んだということが、伝わった。

ユリアヌスは、ローマの神々からの神託を感じただろう。もはや迷いはなかった。彼は髭を伸ばし、ローマの伝統衣装をまとった。彼が目指したのは、哲人皇帝と言われたマルクス・アウレリウスだった。さらに言えばプラトンの言う哲人王だった。そしてキリスト教と対峙する、それゆえ彼は「背教者」と呼ばれる。

下はローマの運命の女神フォーチュナ。しかし女神は視力のないようにも描かれる

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。