ナポレオン政権の警察長官フーシェは、実は1802年に罷免されていた、原因はナポレオンの終身執政に反対したためである。しかし04年2月、王党派の3人が政府転覆の容疑で逮捕された。そしてその一味として、バーデン在住のアンギャン公が逮捕されて処刑された。国民は警察強化でフーシェの復帰を望んだ。
欧州諸国は、勝手に他国に踏み込んだ仏政権を非難した。03年にはアミアンの和約が破棄され、イギリスが宣戦布告をし、ウィリアム・ピットが首相の座に戻った。実はアミアン和約の問題はマルタ島だった。マルタ島はマルタ騎士団が長らく占拠していた要所だが、ナポレオンが追い出し、ナポレオンが帰国する隙にイギリスが占領した。
アミアン和約を結んだのはタレーランだが、マルタ島にはこだわらず、返還すると約束しただけだった。しかしナポレオンは、イギリスが地中海拠点を簡単に手放すはずがない、と踏んでいた。結局この問題で、英仏和約は破綻する、マルタは第二次大戦終了まで英国領に残るのだ。
タレーランは、征服した領土を有利な条件で、元の領主に戻すべきと考えた。しかし併合した場合、終わりなき迷路に踏み込む、と友人に語ったそうだ。ナポレオンはまさに領土にこだわり、帝国の道を歩む。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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