さて312年、コンスタンティヌスはリキニウスと同盟を結ぶ。異母姉コンスタンティアを彼の嫁にするのが証である。いよいよ彼は天下分け目の合戦に望んでゆくのである。しかし信長じゃないが、やはり「天下布武」方針がなければおかしい。その鍵がトリーアにある。
トリーアはローマが紀元前から建設した北への進出拠点であり、「第二のローマ」と言われるほど都市化されていた、アウラ・パラティナという宮殿もある。しかし母ヘレナはそんな宮殿など見向きもせずに、キリスト教会に通っている。自分の領分から惜しみもせずに貧者に施しをしている。
もうここにはエウカリウスという司教が居て聖堂を建てている。さらにここを拠点として各地にキリスト教は宣教をしている。「それに比べて」と思っても不思議ではない。ローマの神官達は贅沢な暮しをして動きもしない。宣教するのは軍が占領して豪勢な神殿を建ててからである。
今の敵マクセンティヌスはローマに居て、ローマの元老院共のいうなりに古い政治をしている。ありゃダメじゃん、イタリアの支持は得られても、他の支持が得られん。広大な帝国を治めるにはもっと別の原理とそのために動く兵が要る。軍人だけに、危険をかえりみず蛮族の地に入る「キリストの兵」の力は評価していただろう。
下は元ヘレナの宮殿に建てられたトリーア大聖堂の夜景
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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