アマデウスの旅24-新皇帝賛歌のオペラ

さてピンチのモーツァルトに仕事をくれたのはドイツ民衆劇団の支配人シカネーダーである。ドイツオペラ、ジングシュピーゲルは、ヨーセフ2世も力を入れたが人気が出ず、起死回生を狙っていた。そしてアマデウスに依頼したのが「魔笛」この台本はシカネーダーだが、モーツァルトのオペラでは一番上演回数が多い。

このオペラは、1991年4月半ばから取り掛かった。しかし7月ほぼ完成の状態で一旦中断される。新皇帝レオポルド2世のボヘミア王戴冠のためにプラハの劇場よりオペラを依頼されたのだ。アマデウスは新皇帝に取り入るチャンスと見て、大急ぎで作ったのが「皇帝ティートの慈悲」という従来型のオペラセリアで、その分野での最高傑作となった。

皇帝ティートは、ローマ時代のポンペイを廃墟と化したヴェスヴィオ火山の大噴火のとき、災害復旧に尽力した慈悲深い皇帝として、何回もオペラにされた。アマデウスは従来の台本を2幕にまとめて、バロックオペラのしつこさを改め、すっきりとしたオラトリオのようなオペラにした。

8月29日、新皇帝がプラハに到着し、9月2日にはドン・ジョバンニも上演された。さらにサリエリの指揮で、アマデウスのミサ曲、戴冠ミサも演奏され、7日に自身の指揮で初演された「皇帝ティートの慈悲」は、市民に喝采を浴び、200ダカートを得て、運が回復したかに見えた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。