アマデウスの旅12-「後宮からの逃走」と結婚

ウィーンに居るモーツァルトにさっそくオペラの依頼がある。勧めたのは皇帝ヨーゼフ2世の演劇長官である。80年に女帝マリア・テレジアが崩御し、息子ヨーゼフはドイツ語文化政策をすすめていた。そんなとき、ロシア大公の訪問にあわせて何かドイツ語オペラをつくれないか、というわけだ。

そこでアマデウスが作ったのが5大オペラの最初「後宮からの逃走」である。これは奴隷としてトルコの後宮に連れ去られた姫を恋人が助け出すというストーリーで、オーストリアもロシアもトルコとは大いに関係がある。しかし大公の訪問は延期され、オペラも間に合わず、翌82年7月16日に初演された。

アマデウスはこの初演に最高の配役で臨み、アリアは高度なテクニックを要するものにした。今回のジャンルは喜劇であり、あのモーツァルトの快活なメロディーがあふれており、ストーリーもトルコとの和解で終わる。皇帝は「音符が多すぎる」と言ったそうだが、確かに当時の群を抜く音楽である。

このオペラの主役はコンスタンツェと言う。この成功でウィーンでの地位を得たアマデウスは、その印として同名の女性と結婚する。彼女は、ウィーンで居候していたウェーバー家の娘で、初恋の人アロイジアの妹である。しかしこの結婚に故郷の父は反対だった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。