啓蒙の光19-ルソー「自然に帰れ」

「子供のようにならないと神の国には入れない」ルソーはこの言葉を覚えていたのだろうか。1762年「社会契約論」が発刊される。ルソーは先の「人間不平等起源論」で、自然状態を平等な状態と見て、その後の制度が不平等を作り出したと考えていた。となれば理想社会は平等でなければならない。

ルソーはここではっきりと「国民主権」を打ち出す。そして間接民主制ではなく、直接民主制を是とする。人民はお互いの合意で「一般意思」を生み出し、それが決まればそれに服従する。そして政府は一般意思の執行者でしかないので、人民はそれを替えることができる。

そして理想の社会をつくるためには子供からの教育が必要だと同年「エミール」を発刊するのである。ルソーは「子供の発見者」と言われる。この時代イエズス会などで、少年教育が盛んになるが、それは大人になるための詰め込み教育だった。ルソーは子供の自発性を優先した教育を提案する。

「造物主の手を出るときはすべてが善であるのに、人の手に移されるとすべてのものが悪くなってしまう」。ルソーは子供の善性を妨げずに成長した社会的自然人に最終的な期待をする。ルソーの思想はその後に大きな影響を与えるが何よりも、その後の革命に大きな影響を与えた。

下は「エミール」の挿絵

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。