フランスも戦争による財政の悪化に悩まされる。財務大臣ダルヌヴィルは、貴族、聖職者も含む20分の1税を提案した。しかし双方から猛反対。新税は、導入されたものの骨抜きになり、高等法院は何かにつけて、王に抵抗する。父ルイ14世の時代とは隔世の感がある。
政治が面倒な王の楽しみは愛人だった。そして1745年から愛人となるのが、有名なポンパドゥール侯爵夫人である。彼女は実は銀行家の娘で平民だが、身分の低い彼女を愛人とするため、領地と称号を与えた。そんな売官は、この時代のフランスでは朝飯前である。彼女は絶世の美貌に加え頭も切れた。
夫人は、ヴェルサイユの3階に住み、宮廷儀礼に疲れた王をもてなした。身体上の理由から性的関係が切れてからは、王に新しい愛人をあてがっては、自分の権力を保持した。そして湯水のように金を使い、自分の邸宅を建てた。現大統領官邸のエリゼ宮もその一つである。
もっとも彼女は、文化、芸術を庇護し、自分のサロンに啓蒙思想家を通わせていた。そして彼女の好みもあって、豪奢華麗なバロックから、繊細で優美なロココ芸術が生まれ、陶磁器セーブルが生まれた。彼女は政治にも堂々と介入し、宰相をも推薦することになる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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