啓蒙の光10-鉄腕王のマイセン焼

ポーランドとザクセンの鉄腕王、アウグスト2世は、大北方戦争を起こして一度退位させられたり、たいへんな王だが、芸術を振興し、ドレスデンを北のフィレンツェと言われる美しい街にした。もっともそれは、ルイ14世の華麗なヴェルサイユ宮殿に魅せられたかららしいが。

また王は、東洋陶磁の収集も熱心だった。日本も銀が枯渇してから,陶器や漆器をオランダを通じて輸出した。中国陶器151個と兵士600人を交換したという逸話がある。そして鉄腕王は、これまた強引に、金をつくれると法螺をふいてプロイセンを追放された錬金術師ベドガーに陶磁器を研究させる。

ベドガーはこの無茶ぶりに、1709年高温で焼成してヨーロッパ最初の陶磁器をつくりあげた。そして陶磁器工場は、マイセンのアルブレヒト城の中で、厳重な監視のもとで製造された。あわれベドガーは、そこに幽閉されたまま、37歳で死亡した。もっとも日本に連れてこられた朝鮮の陶工も、厳重な監視に置かれたのだから人のことはいえない。

この後、フランスでもマイセンの技術者を招いてセーブル焼ができ、陶磁器製造は欧州中に広がり、洋皿などの食器も陶磁器でつくられるようになった。

下はアルブレヒト城ヴァーチャルツアー

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