サロンの女王2-ヴォルテール誕生

この平和とバブルの時代に、フランスの文化が栄える。その主役は、貴族夫人の主催するサロンである。とにかく彼女らは才能ある文人達を競って囲い、ホストさながらの恋愛詩などを作らせたり、劇や音楽会をやって遊んでいたのである。しかし彼らは啓蒙文化人となっていく。

そのトップバッターといえる天才が出現した。名をフランソワ・マリー・アルエ、彼は1694年生まれ。10歳でイエズス会の学校で文才を現し、当時サロンの女王といわれたニノン・ド・ランクロ嬢にかわいがられ、書籍代として2千フラン渡されたという。

早熟なアルエは父の赴任地ハーグで恋愛事件を起こしたり、帰ったパリでは、フランスの時世批判の詩を書き、摂政公の命令であのバスティーユに叩き込まれる。しかし獄中で書き上げたのが処女作「エディプ」で、1718年に上演されるや45回の大当たりを取り、一躍有名になった。

彼は社交界の寵児となったが、同時に妬みをもつ貴族ロアンと決闘騒ぎを起こし、またもやヴバスティーユに。そしてパトロンの助けで、イギリスに留学するという名目で釈放される。彼は古い時代と古い自分にサヨナラするつもりでペンネームを使う「ヴォルテール」の誕生である。

下はニノン・ド・ランクロのサロン立っているのがヴォルテール

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。