1687年遂にイギリスでニュートンの書「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」が発刊された。この書に書かれた原理はニュートン力学として、20世紀まで科学や思想を支配することになる画期的な書だった。ニュートンは65年から66年にかけて、微分積分、万有引力、光学の発見をしている。
実は同じ時期友人でライバルのロバート・フックは、慣性の法則や万有引力について講演している。そしてフックはニュートンに万有引力について学会機関誌に発表を求めたのだ。ケプラーやホイヘンスの研究から、引力は逆2乗で働くこともわかっていた。ニュートンは自分の数学をそれに応用する。
ニュートンは、運動の3法則の中で、力のかかった運動を定式化し、引力を物体の持つ力とした。地上だけでなく宇宙の星にも適用される法則の定式化はまさに革命だった。惑星の運動が地動説によって解明されたことで、イタリアで教会に敗北した地動説はイギリスで完全に勝利した。
ニュートンは、物事の原因を問わずに、物事の現象の仕方を説明した。彼はこの書の最後に神がすべてに偏在すると述べる。万有引力の原因を説明するにはそれしかない。しかし彼が発見した自然法則は、物質の本性となり、この後神は自然界では「第一原因」として遠ざけられる。
下はニュートンが所有していた「プリンキピア」初版
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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