太陽王16-幼子イエス信心ギュイヨン夫人

マントナン夫人の周辺にはギュイヨン夫人という敬虔だが、ちょっとやっかいな人も居た。彼女は1648年生まれで、ギュイヨンという裕福な男の未亡人だった。横暴な夫に悩んでいたところ、ある修道士より「外に求めず、自分の内に神を求めなさい」と言われたことが心の支えとなった。

夫の死後、彼女は奉仕生活に入り、1672年7月彼女は「我が身を幼子イエスに捧げる」と誓約し、幼子イエスの信心を始めた。彼女によれば、聖書の「幼子のようにならねば天の国に入れない」という言葉は、幼子イエスを信心することで達成されるということである。

マントナン夫人は、ギュイヨン夫人を度々女子校で講義をさせ、彼女の信心は宮廷内のサークルとなった。しかし内的な祈りを大切にするというのは、外的な聖職者にとってはちょっと目障りである。そのためギュイヨン夫人は異端の疑いで度々幽閉された。

1703年からは、ブロアに司教の監視のもとですごし、15年に彼女は亡くなる。しかしギュイヨン夫人の内的信仰は、イギリスやドイツで賛同者を集め、ブロアは自然と巡礼地になった。そしてその信心はリジューの聖テレーズに受け継がれる。聖テレーズの修道名は「幼きイエスと尊き面影のテレーズ」である。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。