1673年12月27日、イエスの聖心信心は、一人の修道女によって劇的な展開を見せる。聖マルグリット・マリー・アラコクである。自伝によると71年から彼女のビジョンにイエスが現れた。彼女にイエスは厳しい苦行を科し、彼女はそれを完璧にできないことに苦しんだ。苦しみが彼女とイエスのつながりだった。
そしてその日、その試練に応えてイエスは自分の心臓を愛する弟子という名前をつけた。彼女は自分の心臓を取り出してイエスに与えたのに対し、その代わりにイエスは自分の心臓を出して彼女の胸に入れたという。この体験は告解師に伝えられたが本気にされず、バカにされた。
しかしイエズス会のコロンビエール司祭に告解師が変わると、彼はそれが神からのものだと確信した。彼はマルグリット・マリーの体験を本にして出版する。当時過激な聖心の信心は、ジャンセニスト達が反対していた。彼は、聖心信心の象徴として彼女の体験をアピールしたのである。
この本はカトリックに普及し、聖心のシンボルは浸透し、マルグリット・マリーも認められた。その後19世紀フランスで聖心信心はピークを迎え、モンマルトルにサクレクール(聖心)寺院が建設され、今では町のシンボルとなり、彼女は列聖された。
下はサクレクレール寺院の天井画
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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