太陽王9-ウィレム3世の冠水作戦

フランスの侵攻に絶体絶命のオランダが行ったのは「焦土作戦」ならぬオランダ伝統「冠水作戦」である。すなわち海抜0mの低地の川の堤防を切ってホラント州を水びたしにしたのだ。これは曽祖父オランイェ1世がレイデンを救うために行った戦術の応用である。

たかをくくっていたフランス軍は準備がなく、進軍は大幅に遅れてしまった。その間隙を利用してウィレムは対仏包囲網外交を展開、皇帝レオポルド、ブランデンブルク侯やスペインを味方につけた。万全のつもりのルイ14世も結局やりすぎた。

ウィレムはフランスの後方にも攻撃をかけ、両ハプスブルク国が、仏領下ネーデルランドに攻撃の気配を見せると、フランスも戦力を防衛に割かざるをえなくなる。そして1672年翌年とイギリス海軍がオランダに海戦で敗れ、イギリスも戦争続行が困難になる。

さらに1675年にドイツを転戦していた名将ティレンヌが戦死。77年に英王弟ジェームスの娘メアリとウィレムが結婚し、さすがのルイ14世も戦争続行が不可能となり、多少の領土と引き換えに講和した。。そしてこのきっかけで英蘭関係が強まり、ウィレムがイギリス王となる名誉革命の契機となるから歴史はわからない。

下は今も残るナールデンの浸水型要塞都市

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。