太陽王8-オランダへ大規模侵攻開始

ルイ14世はあくまでオランダを狙う。そのためには反フランス3国同盟の解体である。まずイギリス王チャールズ2世は亡命していたフランス贔屓、1670年にはドーヴァーの密約で、22万ポンドの年金で味方に引き入れた。さらに淫蕩な英王の監視に、才色兼備のルイーズ・ケルアイユを送りこみ、愛人にさせた。

スウェーデンにも金を渡し、バイエルンやザクセンも味方につけ、皇帝レオポルド1世には、カルロス2世亡きあとのスペイン分割をもちかけて、その代わりにフランス支援を約させた。西王も生前から亡き者と扱われていたわけだ。

対蘭戦争のためには、軍を12万人まで拡大し、2万人の予備役をつくった。こうした周到な準備の上に、1672年3月3日、イギリスのオランダ艦隊攻撃を皮切りに、4月6日フランスのオランダ侵攻が始まった。名将チュレンヌとコンデ公は別軍を組んで仲違いせず、フランスはライン河畔を占領、さらにユトレフトやナイメーヘンを占領して首都アムステルダムに向かう。

危機に陥ったオランダでは、政府首班が民衆に虐殺され、代わりにナッサウ家のウィエム3世がオランダ総督となった。フランスは、オランダに降伏の使者を送ったが、内容は領土の大幅割譲とフランスへの従属だったため、民衆の怒りに油を注いでしまった。

下はライン渡河で侵攻するルイ14世

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。