1670年理性主義でポジティブなデカルト哲学に対抗する書が発刊される。天才ブーレーズ・パスカルの「パンセ」である。パスカルはわずか39年の人生で、10歳のとき三角形の内角の和が180度であることを証明。16歳で円錐曲線の「パスカルの定理」17歳で機械式計算機を制作、さらに流体の「パスカルの原理」を発見、確率論の創始者でもある。
パスカルは世俗の中で永遠を求めるようになり、1654年11月23日夜信仰に目覚める。当時フランスはジャンセニズムが流行していた。ジャンセニズムは、オランダ出身のユネリウス・ヤンセンが、アウグスティヌスを研究して、自由意志の無力さ罪深さ、神への接待的帰依を説いて確立した。
ルターがアウグスティヌス研究から出発したように、ジャンセニズムも新教の匂いがする。サン・シランらは、人間が神秘的に神に近づけるというイエズス会の教説を攻撃した。そしてパスカルはそれに影響される。
パスカルはデカルトの合理性とモンテーニュの懐疑性を持っている。「人間は一本の葦」という有名な文は人間の理性を認識しながら、しかし葦でしかない悲惨さも指摘する。理性だけでは傲慢になり、理性で捕らえられないものを認めることも彼はまた指摘する。彼の「パンセ」は後世に深い影響を残した。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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