バロックの時代29-フェルメールの光と神

レンブラントの後のオランダ絵画の代表者は、日本でも人気の高いヨハネス・フェルメールである。彼は1653年に裕福なカトリックと結婚し、そのおかげもあって、高価なラピスラズリを惜しげもなく使った自分の好きな絵を描くことができた。結婚の際、カトリックに改宗したとの説がある。

彼は主に、繊細で写実的な風俗画を描いた。彼もまた先行のバロック画家と同じく、光を操り、象徴的な意味をもたせている。彼はデルフトから出なかったが、真珠や毛皮などで、外の世界を知ることができた。光はその希望として表現されている。

そして物語画家でもあった彼は、風俗に物語の一瞬としての意味をこめている。描かれた風景を象徴的に読み込んで、鑑賞者は、どういう意味をもつものかをそれぞれに解釈することができる。この際に光は、真実を明らかにする神の光との意味をもつのである。

フェルメールの絵は、一時レンブラントのような評価を受けたが、オランダの黄金時代が去ると共に忘れられた画家となった。しかし19世紀の写実派の画家や、象徴主義の作家が再発見して、再び脚光を浴びることとなった。

下は映画「真珠の耳飾りの少女」

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。