バロックの時代24-ハプスブルクの王女

ヴェラスケスは、スペインから10回以上も帰国を要請されて、1651年ようやくイタリアから帰国した。そして翌52年に王宮配室長に任ぜられた。王宮の日常を管理する侍従長ともいえる住職だが、もう飛び歩くことはできない、画家53歳。そして王家一族の肖像画に専念する。

とりわけ、フェリペ4世がハプスブルク和解の印として再婚したマリアナ・デ・アウストリアの娘、マルガリータ王女の肖像を何作も描いている。実は王女は、神聖ローマ皇帝レオポルド1世に嫁ぐことが決まっており、その見合い写真というわけである。最初の絵はなんと3歳。

フェリペ4世は、肖像画をあまり描かせなくなる。ヴェラスケスの心理まで見透かす絵画にやつれた自分を描かすのが怖かったようだ。1653年に描かれた肖像画は、黒の背景に、実に生々しい人間像となっている。しかしそのやつれた表情に画家の敬意は伝わってくる。

そして、前妻との間で唯一成人した、マリア・テレサは50年代に婚姻用に多くの華麗な衣装での肖像画が描かれた。彼女はスペイン継承権を持っており、その結婚は国家の大事だった。彼女はフランスとの戦争終結の証として、仏王ルイ14世に嫁ぎ、ヴェラスケスも職務上国境まで見送りに行くのである。

下左は青いドレスのマルガリータ王女右はピンクのドレス。私はピンクのドレスを観たが、ドレスの光沢は荒く描かれているのに驚いた

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。