30年戦争21-西宰相オリバーレス解任と死

リシュリューはユグノー戦争で分裂していたフランスを30年戦争を利用して、スペインを凌ぐ大国にしてしまった。カトリック枢機卿にもかかわらず、プロテスタント国と同盟し、スペインと戦争する彼の姿勢は、王母マリーを含め、カトリックから憎まれた。

リシュリューは「私の第一の目標は国王の尊厳。第二は国家の盛大である」と述べている国家理性の信望者であり体現者である。つまり国王の私物でなく、国民の統合としての国家といえようか。彼はそのために身を捧るだけでなく、印刷物を使って大いに宣伝した。

一方のスペインでは、威信をかけた国王出陣に敗北し、その責任で宰相オリバーレスは1643年1月17日に解任された。その2年後の45年7月22日に隠遁先で息を引き取る。オリバーレスは、スペイン帝国の問題点、地域分化やカトリック純血主義、工業の蔑視、金融のジェノバへの過度の依存などを認識して改革しようとした。

しかしそれまでにハプスブルク帝国は広がりすぎており、帝国再興のほうが優先し、改革は後回しになり、結果的にスペイン衰亡の決定的な役割を演じてしまったのは皮肉としかいいようがない。

下はオリバーレスの死

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。